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遺言には幾つもの種類があることは別の記事で述べましたが、それらに共通する遺言作成上のルールをここで説明していきます。なお、「どんな人が遺言を作ることができるのか」については、こちらの記事をご覧ください。
まず、公正証書遺言以外のすべての遺言については、遺言書に書いた内容を訂正する方法が法律で決められています。
例えば、「長男の一朗に土地を相続させる」と言う文言を、「長男の一郎に土地を相続させる」と間違って書いた場合、「郎」の部分に2重線を引いて抹消し、その横に「朗」と書いて、その下または横に印鑑を押します。そしてその付近の余白(その行の上下の余白を使うとよいでしょう。)に「一字訂正」と記入します。字を挿入した場合は「○字挿入」、字を消した場合は「○字削除」と書いて下さい。
もっとも、この訂正方法はご覧の通り非常に難しくて間違いが起こりやすいです。その間違いが原因で遺言の有効性について相続争いが起こる危険があります。実際に裁判になれば多少の訂正方法の誤りがあっても遺言が有効と認められたりするのですが、できるのであれば新たに全体を書きなおして争いを防ぐのがよいと思います。
次に、公正証書遺言をはじめ自筆証書遺言以外の遺言の作成には証人の立ち会いが要求されていますが、この証人になれる人には一定の制限があります。
証人になれないのは、①「未成年者」、②「遺言を遺す人が亡くなった際に法定相続人になる人」③「その遺言で遺贈を受ける人」、「②③の人の配偶者と直系血族」、「公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、使用人」です。
つまり、判断能力が充分でない人や遺言の内容に利害関係を持っている人は証人にはなれないということです。
ちなみに、仮に遺言作成現場にこれらの人が立ち会ったとしても、その人が遺言の内容に関わったのでなく、「証人」として署名するなどもしなければ、遺言は有効のままになります。
次は、「共同遺言の禁止の原則」をご説明します。
共同遺言というのは、2人以上の人が(例えば夫婦など)内容が関連する遺言を共同で遺すことを言います。例えば同じ書面の上に遺言内容を書いて、夫婦で署名するような場合のことを言いますが、このような遺言は無効になると法律が定めています。
共同遺言が禁止される理由は、遺言は人の最後の意思表示なのでお互いに影響を与えあった内容のものを遺すのは適当でないということと、遺言は自由に書き直せるのが法律の原則なのでそれが難しくなるような遺言は認められないということです。
もっとも、同じ紙に2人の遺言が書かれたとしてもその内容が完全に独立しているため簡単に切り離して2通の遺言にできるような場合は無効にはならないとされています。だからといっても、そのような判断の難しい遺言を遺すのではなく、初めからちゃんと紙を分けた方がよいでしょう。
子供たちにどう財産を遺そうかをご夫婦で検討される方もいらっしゃると思いますが、それが無駄になってしまわないように、充分にご注意ください。
最後に一つ、遺言書を書いたあとは、その書面は封筒にしまって封印を押しておきましょう。別にこれをしなくても遺言書の有効性に直ちに影響するわけではありませんが、他人に見られたり変造されるのを防ぐ意味があるのと、保管の際の利便性を考えてそのようにすることをお勧めします。
また、遺言書を発見した人が家庭裁判所の検認手続をする前に開封して中を見てしまうことを避けるために、封筒には「家庭裁判所に提出してそこで開封すること」と書いておくとよいでしょう。
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