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特別受益者というのは、被相続人からその生存中に「特別受益」を貰っていることを理由に、公平を図るために相続分が少なくなる相続人のことを言います。また特別受益とは、相続人が被相続人から生前に貰っていたお金や金銭的価値のあるもののことを言います。
特別受益との関連で「相続」が「争族」になる場面の一つとして、例えばこんな場合があります。3人兄弟のうち次男(28歳)はデキが良いので本人の希望もあり大学院まで親が学費(600万円)を出して進学させましたが、長男(30歳)は高校を出てすぐに働きだし、三男(18歳)は今高校3年生で進路を検討中、という場面で父親が亡くなってしまったような場合です。遺産は1800万円だったとしましょう。
長男としては、次男は既に学費として親から600万円を貰っているのだから今回の相続では取り分が少なくなるべきと考えます。他方次男からすればお金を貰ったという意識は薄いです。また三男はまだ親に扶養されている立場です。こんな場合、財産はどう分けるべきでしょうか?
こういう場合、まずは話し合いで解決を試みて下さい。例えば、特別受益を考えずに法定相続分通りに分けて、母が900万、子供たちは各300万ずつとしても合意できるなら問題ありません。もちろん特別受益を考慮して、例えば次男は自己の法定相続分を貰わずに3等分して100万ずつ他の相続人の取り分を増やす、とか、または次男が全く貰えないのではかわいそうなので120万円だけ貰って残りの180万円を3等分する、とか、もしくは母がその分は負担したことにして母が600万、長男と三男が450万で次男が300万とか、色々な方法があるかと思います。いずれにせよ話し合いで解決できればそれで良いのです。
しかし、話し合いがまとまらないときや、話し合いの前提として何からの基準が欲しいときもあります。そんな時のための制度を法律は設けていて、それが以下でご説明する「特別受益者制度」であり、別のページでご説明する「寄与分制度」です。
i 「特別受益者制度」は、相続人間の不公平を是正する目的の制度で、①まず「特別受益」の額を相続財産に加えて(これを「特別受益の持ち戻し」といいます。)総額を出し、②その総額をベースに法定相続分でそれぞれの相続分を算出し、③特別受益者の相続分は算出された相続分からその特別受益の額を差し引いた額とする、とされています。・・・書いていても結局どうなるのかサッパリ分かりません。前述した事例で計算してみましょう。
まず特別受益となるのは、「婚姻や養子縁組または生計の資本として」なされた贈与に限られます。本件で問題になっている次男の学費600万円は「生計の資本」にあたり、かつ長男との比較からして「特別受益」になるということにします。なお、もし長男・三男とも親の財布で大学に進学している場合は次男の大学院の学費だけを「特別受益」とすることも考えられます。つまり、「特別受益」が何かは相続人間の公平を考えて決めればよいのです。ちなみにまだ親に扶養されている三男の学費(一般的な範囲の金額)や生活費は親の扶養義務の範囲内の金銭なので「特別受益」にはならないとされるケースが多いと思われます。
今回は遺産額1800万円に次男の学費600万円を足して(これを「持ち戻し」といいます。)、2400万円が相続財産となります。これを法定相続分で割ると、母が1200万円、3兄弟がそれぞれ400万円取得することとなります。
次に、次男は既に600万円貰っていますので、400万円から600万円を引きます。とすると-200万円となってしまいました。しかし裁判所による解決では、この200万円を次男が他の相続人に支払う必要はないとすることが多いので、ここは素直に今回の相続では次男の取り分はゼロ、とします。
以上から、今回の相続は、実際に存在する遺産額が1800万円で、母が1200万円、長男と三男で400万円ずつ貰うことになりました。・・・200万円足りません(笑)さてどうするかですが、ここから少し複雑になってきます。
まず、元々の遺産額1800万円に、次男の相続分からオーバーした分(200万円)を加えると2000万円となります。次に先ほど計算した他の相続人たちの相続分がこの2000万円の何割を占めるかを計算します。そうすると、母が3/5、長男と三男が1/5ずつになりますね。
この割合で、現存する遺産額1800万円を割り付けます。そうすると、母が1800×3/5=1080万円、長男と三男が、1800×1/5=360万円づつ、となります。この額が、法律に基づいて算出した相続分となります(他の計算方法もあるようですが、これが最もポピュラーです。)。
以上が、いわゆる「特別受益とその持ち戻し」のお話です。この特別受益にどんな贈与が該当するのかですが、上の例に出した学費の他にも、マンションの頭金、自動車などいわゆる大きな買い物から、結納金や開業資金などがよく取り沙汰されます。
いずれにせよ、何が特別受益にあたるか、特別受益があるとしてどう遺産分割するかはケースバイケースの判断になるので、各関係者が納得できるよう充分話し合うとよいでしょう。
そしてここからが少し怖いお話なんですが、特別受益は時効になることがありません。つまり20年30年前のマンションの頭金も特別受益として計算の対象になるのです。そしてその価格は「相続開始時(=被相続人死亡時)」の時価とされています。
・・・少し話が細かくなり過ぎたので、ここまでにします。どのような財産が持ち戻しの対象になるかや特別受益のさらに細かい評価方法、さらには持ち戻しの免除方法などが問題になると思ったら、一度相談に来て下さいね。
相続法改正の解説について、毎日新聞の取材に協力しました。
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