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「相続」と言ったとき、多くの普通の人は「親が亡くなった時に自分や兄弟などが財産を受け継ぐもの」と捉えていると思います。
法律上も相続とは、人が亡くなった際に亡くなった人と「一定の関係にある人」が財産や負債、権利関係や法的地位をまとめて受け継ぐものとされています。権利関係・法的地位とは例えばアパートの借主・貸主のような関係です。ただ、「まとめて」といっても、「亡くなった人にだけ専属している権利義務」は引き継がれません。よく例に出されるのが「画家が絵を描いて引き渡すという義務」ですが、要するに画家が亡くなった以上その義務を果たすことは不可能となった、で話が終わるということです。また、よく就職の際に結ばれる身元保証契約に基づく身元保証人の地位も原則として相続されません。
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「相続」と言ったとき、多くの普通の人は「親が亡くなった時に自分や兄弟などが財産を受け継ぐもの」と捉えていると思います。
法律上も相続とは、人が亡くなった際に亡くなった人と「一定の関係にある人」が財産や負債、権利関係や法的地位をまとめて受け継ぐものとされています。権利関係・法的地位とは例えばアパートの借主・貸主のような関係です。ただ、「まとめて」といっても、「亡くなった人にだけ専属している権利義務」は引き継がれません。よく例に出されるのが「画家が絵を描いて引き渡すという義務」ですが、要するに画家が亡くなった以上その義務を果たすことは不可能となった、で話が終わるということです。また、よく就職の際に結ばれる身元保証契約に基づく身元保証人の地位も原則として相続されません。
相続とは以上ようなものですが、昔は「一定の関係にある人」が現在よりも限定されていました。つまり、相続は全ての人に生じるものではなかったのです。日本ではそういう時代の方が長いのではないかと思います。
すなわち、つい最近まで(第二次世界大戦終了後しばらくまで)、日本では「家」を中心とした家族関係が存在しており、相続とはこの「家」をどう承継していくか、という問題でした(今でも「ウチは本家筋、分家筋」なんて話、ありますよね。)。
当時は、家を承継する人が「家督相続」といって、家の主である「戸主」という立場(権利関係・法的地位だけでない「家」そのもの)を受け継ぎ、それとともに家の財産のほとんどを戸主が相続する形が取られていたようです。
つまり相続は多くの場合「戸主」さん(家長などとも言います。)にだけ生じるものだったのです。ちなみに、戸籍上も、「家督相続が生じたので新しい戸籍を作ります」のような記載があったりします。
しかし、上述のような「家」を中心とする相続制度は現在廃止されています。なぜなら、第二次世界大戦敗北後に制定された現行憲法が「個人の尊厳と両性の本質的平等」をかかげたため、それを受けて制定された民法(昭和23年施行)がこれと抵触する「家」制度を採用しなかったからです。
以上の経緯を経て現在の法律上の相続制度は、「亡くなった人の持っている財産・負債などを、家長や戸主だけでなく亡くなった方と一定の関係にある人に承継させる制度」となり、多くの人に発生するものとなっています。実際に相続のお話をはじめる時も「まず誰が、次に何を相続する?」という順序で話を進めるのが一般的です。
もっともこうした「家」の概念は、法律で採用さなくなってずいぶん経過した現在でも、特に年配の方の心の中に生きていることも多いです。そういった方は相続というものは例えば長男だけがするものであり「家」から出た方(例えば結婚した娘など)はそもそも権利などないという感覚だったりします。財産・負債の承継のしかたを相続人同士で話し合う際には、そういう考え方もあるということをある程度わきまえていた方が紛争を未然に防止できることがあります。
一口に「相続」といっても、時代とともにその内容や方法は変わってしまいます。相続のお話し合いをする際は、世代や価値観、亡くなった方や相続人それぞれの事情をお互いに踏まえたうえで話し合いができるのが理想的ですね。
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